特定非営利活動法人ガブリエル
理事長 松尾 由理江
近年、医療の進歩で今までは救えなかった子ども達が救えるようになり、医療的ケア児が増加傾向にあります。医療の進歩は目まぐるしく速いですが、地域がその医療の進歩についていけていないのが現状です。
重症心身障害児・医療的ケア児の保護者は、病院を退院してから寝る暇もなく疲弊しながら子どもの世話をしているのが現状です。
また、子どもが成長し保護者は年をとっていく中で、気づいたときには保護者が面倒を見ることが難しくなり、身動きがとれない状態になることが予想されています。
現在目黒区には、重症心身障害児・医療的ケア児の児童発達支援事業所・放課後等デイサービスがなく、他区に受け入れをお願いしている状況です。
送迎範囲も限られている為、保護者が児を連れて公共交通機関を使用し事業所まで通っています。
地域の中で支援する事業所が育っていないため、毎日入浴することもできない、親と離れて過ごす時間がなく、親離れ・子離れができない状態です。
家庭に入るサービスの時間も1時間から2時間と短いために、保護者の休息の時間がなく保護者は疲弊しています。また、他区の事業所に行くために公共交通機関を使用することで、重症心身障害児や医療的ケア児のある子ども達は、様々な感染で重症化する恐れもあります。
この様な背景から、目黒区の住み慣れた地域で重症心身障害児・医療的ケア児の受け皿を作り、積極的に社会参加し成長発達を促し、保護者の休息時間を作り、健全な精神のもと(疲れ切った状態に陥らないように)生活が送れるよう支援していきたいと思い設立にいたりました。
今後、送迎と入浴が付いた放課後等デイサービス・居宅介護支援事業・重度訪問介護支援事業・相談支援事業・日中一時支援事業・入浴支援事業・生活介護などの事業を展開し、目黒の子ども達と親が疲弊しないで日常生活が送れる施設づくり・地域づくりをしていきたいと考えています。
私たちはこれまで目黒区障害者自立支援協議会の一員として、目黒在住の医療的ケアが必要な家族を対象とした「在宅で医療的ケアを必要とする障害児等に対するアンケート調査」を実施してきました。
保護者がいかに疲弊し日常生活を送っているかが明らかになりました。
令和元年5月4日には目黒区の重症心身障害児・医療的ケア児に声をかけバーバキュー大会を実施し、子ども達には外に出る機会だけでなく同世代の子どもとの交流や、保護者同士が話せる場、休める場を提供させていただきました。また、こうした活動をSNSで発信し理解・協力を求めて来ています。
私たちの活動は社会的な使命を達成することを目的としています。
それは「目黒の重症心身障害の子ども達の行き場を作り、子どもらしく過ごせる地域を育てて行く」ことです。子どもや保護者の方々に、そして地域の方々に、私たちが行っている活動を広くお知らせし、信頼を得ることがまず第一と考え、利益がでたら、その利益を子ども達や地域に還元したいと考え特定非営利活動法人としました。一方、福祉を支える働く人たちの生活を保障するため、厚生年金や健康保険、雇用保険等を適用し、法人としての責任も果たしていきたいと考えています。
私たちの活動は、まだ小さな芽でしかありません。この小さな芽が大きく育ち、やがて障害のある子どもたちを支える大きな樹になることを願っています。